知らないことを知るということ

知らないことを知るということ

最近、「知らないことを知る」ということについて、気付かされた出来事がありました。また、それをもとに色々と思いを馳せて、様々な考えが生まれたので、ここに記しておこうと思います。

知らないことが無いということはあり得ない

僕はビートルズが大好きで、知らない曲は無いし、イントロクイズなんかやれば、ある程度ガチファン勢とも勝負できると思っています。

しかし最近、非公式ではあるもののポールマッカートニーが作曲したクリスマスソングが存在したというニュースがあり、YouTubeでも公開されていました。僕はこの曲を知りませんでした。

 

これは、ほぼ即興のホームビデオで撮られたようなものなので、知らないのは当たり前なのですが、僕には、ビートルズの知らない曲があったということになります。つまり、今まで僕はビートルズの曲で、知らない曲が無かったのではなく、「知らない曲があることを知らなかった」だけなのです。これが何となく自分の中で結構印象に残ったというか、面白い体験でした。

 

似たような話で、高校生の頃、ニコニコ動画であるバンドのライブ映像を見ていました。その中で、ある曲が演奏された時に以下のようなコメントが流れました。

 

「これ、なんて曲?このバンドの曲は全部聴いたはずなのに知らない。」

それに対して、以下のコメントが。

「それ、つまり全部聴いてないんだよ。」

 

たしかに。間違いない。それは全部聴いていないだけだ。的確で無駄の無いツッコミに思わず笑ってしまうと同時に感心すらしてしまった。これも今回の僕と同じで「知らない曲があることを知らなかった」だけです。

 

よく、「〇〇について、俺に知らないことは無い」みたいなセリフがありますが、これもよく考えたら、自分の知識が全てだという前提にしてしまえば、どんな人でも言えることです。

僕はそこで、どんな物事に関しても(自分自身のことでさえ)、知らないことは無いなんてことは無いんじゃないかと考え始めました。

相手より自分の方が知識があるという考え

ある物事について、ある人よりも詳しい(と信じている)場合があると思います。しかし、自分が知らない情報を、たまたま相手が知っている可能性もあるはずです。

 

これは、僕が社会人1年目の時に経験した話です。詳しい内容は忘れてしまいましたが、あるプログラムのテストをしていた時の事です。ある不具合を発見し、それを修正した後、該当コードを書いた先輩エンジニアに報告したところ、「そのコードが原因でそんな現象が起こるのは有り得ない。よく確認した?」

と言われ、新人の僕は少し不安になり、もう一度その箇所のテストをしました。しかし、やはりどう調べても、僕が修正したコードに間違いはなさそうです。もう一度報告。

 

「ええホントに?何か間違ってない?そのプログラムの動かし方知ってる?俺、その部分何度もテストしたよ?」

 

こういったやり取りが何度かあった末に、その現象を一緒に見てもらって、やっと不具合を認めてもらいました。
その先輩エンジニアによると、直近で行ったそのプログラムの変更と今回の不具合が発生する箇所が全く無関係と思える内容であったため、有り得ないと思ったのだそう。

 

このケースは、先輩エンジニアからすると無関係な部分と思っていた。気づけていなかった部分が、自分より知識が浅いはずの新人エンジニアが気づいていたことです。「相手より自分の方が知識があるはず」という考えから、自分が間違っていると考えられなかった、という可能性があります。実際のところは、もちろん僕の方が詳しかったわけでもなく、先輩エンジニアが知らなかった、気づかなかった部分にたまたま僕が気づいたというだけのことです。

 

しかし、誰かと比較して自分の方が知識がある。という考えが思わぬ落とし穴になる場合もあるのではないでしょうか。

 

知らないことがあることを認める。自分がわかっていないことがあることに気づく。というのは単純ですが、大事なことのような気がします。

 

知らないことを知る。認める。共有する。

自分がまだ知らないことがある。ということを認識しないでいると、同じく自分の知識に自信を持っているひとと争いが起きやすくなったり、自分の知識に固執して、新しい知識を獲得するチャンスを失うという弊害が起きる可能性があるのではないでしょうか。

 

「俺はお前より詳しい。」
「お前は何もわかっていないだけだ。」
職場なんかでも、知識や経験を持った人同士ほど、争うことが多いような気がしますよね。
これを、お互いが認め合って、その知識を共有することが出来れば、新たな知識が獲得できるチャンスであるはずなのに。

 

まとめ

「知っている」ということ、「知らない」ということは、具体的に何なのか。「知っている」ことは本当に良いことなのか。知識を深めすぎることで起こる弊害や、無知の領域に踏み込むことの意義などについて書かれた「無知」の技法NotKnowingという本が、かなり面白かったです。

 

知らないことは「ない」のではなく、機会や可能性が「ある」と捉える。

これがこの本の核となるテーマかと思います。ぜひ、読んでみてください。

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